国立科学博物館にて7月13日から10月14日まで開催されている企画展『昆虫 MANIAC』に足を運んだ。虫をモチーフとした珍奇な装いの男女が描かれたチラシが目を惹く本企画展は、「マニアックな研究者によるマニアックな昆虫展」という題目のとおり、骨の太い展示であった。
虫という言葉のなかには、カブトムシのような馴染みある昆虫から、クモやムカデのような忌避されがちなものまでさまざまなイメージが含まれている。これらを分節して特集すれば、一つの展示が行えてしまうだろう。そのような虫を一手に引き受ける野心はなかなかのものである。
展示の内容については、虫たちの解説はもちろん、巨大模型や映像によるエンターテインメント性もぬかりなく、歴史的人物の手による標本や、虫をもとにした絵本についての特集など、とにかく鑑賞者へのアプローチの方法が豊かである。本展示を訪れた人々は私の目にも老若男女さまざまであったが、少しでも虫に興味をもって展示を訪れたものなら誰にでも新たなベクトルを与えてくれる可能性を感じられた。
ただし、歴史的人物の手による標本の展示については解説が少なく、絵本についての特集はある作家一人を特集したかたちとなっているため、すでに「マニアック」な趣味者や研究者にはやや内容が不足しているとも言える。それでも幅広い層が虫に関心を持つようになるきっかけとしての役割は十分果たしていると言えそうである。
普段は美術展のアプローチに慣れており、自然科学的な展示に足を運んだのは久方ぶりであったので、本展示のような手法は印象的だった。自身は美術展の展示は作品と解説だけで楽しみ、ミュージアムショップもせいぜい画集や資料集を購入するくらいである。そのため、学術的に何かを得ようと展覧会を訪れることがもっぱらで、エンターテインメント性や集客について考えることは無かった。学術に関心のある人々とない人々の両方にアプローチをしていくことについて、考えるきっかけと糸口のひとつを与えられたように思う。









