11月9日、駒澤大学駒沢キャンパスにて戦国史研究会第529回例会が開催された。報告者は山崎裕太氏で、論題は「今川領国における在城の基礎検討」である。

戦国大名領国における家臣の在城(城にいること)については、北条家の事例をもとに理論化され、今川家でも北条家のあり方を参考にして研究が進められている。しかし、在城に関係する知行(土地の支配権・収益権)がどのようなかたちで運営されていたのかという検討はなされていない。本報告では、在城と知行の関係性に注目して今川家の構造を考察したものとなっている。

山崎氏によると、家臣に給付される知行は支城領・在城領・城付知行の3つに区別することができるという。支城領は家臣が平時に内政を行う範囲で、支城を中心とする一円的な地域である。これに対し、在城料・城付知行は軍事施設に在城する家臣に対して、おもに戦時に使用されるものである。

このうち、在城料は在城する家臣個人に与えられた私的な知行で、遠隔地所領が多く捻出源が多様である。また、在城する家臣が在城衆に在城料の一部を差配することで、寄親・寄子の関係性を構築していった。一方、城付知行はあくまでも城(軍事拠点)の運用に使うための公的な知行であり、軍事拠点の近くに設置された。

山崎氏は、以上のような3つの知行をもとに、今川家では家臣団を編成して領国を統治していた、と評価している。また、軍事拠点は領国の「境目」に多く存在していることから、領国内側にあって支配機構が整備されている支城領のなかに在城料を設置することで、「境目」地域での在城・軍事行動を支えたと指摘している。

ただし、先行研究で明確に区別されてきた支城(内政を行う拠点)と軍事拠点について、報告ではあわせて「支城」と呼称するなど、用語の定義については質問も出された。この点は報告の論旨にかかわるものではないため、このあたりの用語の整理をしつつ、論を展開していってほしい。