戦国史研究会では、毎月戦国期に関する報告会が行われている。5月度の例会発表は5月18日に日本大学文理学部キャンパスで開催された。今回は東洋大学大学院の岸野達也氏によって「喜連川頼氏の政治的立場―役負担と参勤の検討を通じて―」が報告された。
近世喜連川氏は下野国喜連川を治めた領主であり、関東足利氏の末裔として「天下の客位」「無位ノ天臣」と呼ばれ、幕府より特別な待遇を受けていたことが知られる。この喜連川氏への特別待遇は近世後期の史料に見られるものであり、この待遇の成立過程が本報告の問題となっている。
これまでの研究では、豊臣政権のもとでそれらの待遇が形成されたと考えられてきた。本報告では、喜連川氏に与えられた諸役免除のうち、とくに文禄から元和年間にかけての喜連川頼氏の役負担と参勤を中心に検討している。頼氏は病欠が多いとはいえ軍役・参勤を免除されているとはいえず、この時期の喜連川氏にはほかの領主と同様に役負担と参勤の義務があったのではないかとの指摘がなされた。
この報告では喜連川氏の諸役免除についてその成立を明らかにするには至らなかったが、岸野氏は古河姫君が鴻巣館領について諸役免除を受けていることをあげ、古河姫君の孫・尊信の動向を今後の研究課題としている。
近世初期の大名研究はまだ途上の部分が多く、本報告は喜連川氏の政治的動向やその意義を家格の成立という観点から捉えたものとして重要である。また、家格についての検討は政治史のみならず儀礼史など諸分野の検討に資するものであり、研究の進展をまつものである。

